OSEDAフォーラムの講演スライドを公開します

Posted at 2023/6/28 16:43:00

6/26(月)に福岡でハイブリッド開催したオープンソースEDAフォーラム(第3回)でのアナジックスの発表スライドを公開します。発表では、明治大学関根研究室の協力を得て、無料でオンライン公開されている555の開発者として有名なCarmenzind氏の書籍に含まれる4つのIPと、独自設計のIPを「レガシープロセスを使ったオープンハードウェアIP開発事例」として紹介しました。オープンハードウェアのIPをフェニテックのファブ(最小ゲート長0.6um)で製造できるよう設計し5月にテープアウトしましたが、NDA不要なOpenRule1um PDKを採用したので、オープンハードウェアとして誰でも使用できます。10月以降に、設計情報とともに評価結果を公開する予定です。これをベースにオープンハードウェアIPの整備が進むことを期待しています。

海外では、Googleの主導により、NDA不要なファブを使った無料シャトルを利用できますが、国内には多数のレガシーファブがあるにも関わらず、LSIを安価に試作できる場がほとんどありません。そのため高付加価値の少量多品種カスタムLSI開発はやりにくく、いまだに多くの電子機器は、海外のLSIベンダーのLSIを使用したプリント基板を使っています。最先端のLSI製造プロセスでは遅れを取っていますが、それでも製造装置はいまだに優位を保っています。カスタムLSIの設計能力は、この製造装置の優位を将来にわたって確保するために必須ではないでしょうか。

国内にカスタムLSI試作の場を確保することは、LSIの研究開発のためにも、また電子機器の開発者が、ネギをしょったカモにならないためにも必要です。カスタムLSI試作の場を作る方策として、輪番制シャトルという仕組みを提案します。シャトルサービスは、ファブにとって重い負担になりかねませんが、例えば6社で、各社年2回のシャトルの責任を果たすとすれば、ユーザに毎月試作の機会を提供できます。PDKの互換性など多くの問題はありますが、オープンPDK方式を採用すればPDKを安価に短期間に開発することができます。

国内のレガシーファブは中国の脅威の前に風前の灯火かも知れませんが、いま輪番制シャトルを成功させることができれば、そしオープンハードウェアの試作が容易にできるようになれば、エレクトロニクス技術者のレベルが向上し、日本は世界において独自の地位を築くことができるでしょう。

盛りだくさんの内容ですが、詳細はぜひ以下のスライドをご覧ください: