設計資産を活かすためのLSI設計支援システム

Post date: 2016/03/10 10:29:42

MakeLSIを提唱される金沢大学の秋田先生は、集積回路が「真の道具」となる民主化を阻んでいる主要因として

・安価・手軽な設計ツール

・安価・手軽な製造ツール・サービス

・情報共有のためのユーザコミュニティ

をあげています。

弊社は、安価・手軽な設計ツールへのニーズにこたえ、また、情報共有のための共通基盤になることを願って、回路設計CADシステム(ALB/ALTA)を開発しました。

レイアウトツールはいうまでもなく、Matlab(やオープンソースのScilab)のようなシステム解析ツール、PCB設計ツール、FPGA設計ツール、さらには、測定のための設備やプログラムを統一的に扱う改良を行っています。

ALB/ALTAは、設計情報を共有し再利用するための仕組みを実現し、アナログLSI設計環境を低価格に提供するものです。このWhite Paperでは、MakeLSI:を含め多くの方に使っていただきたいと考えて最近開発した以下の改良について概要をまとめます。

(1) 回路図エントリーツールとして、LTspiceの他にオープンソースのQUCSを使えるようにしました。QUCSの次期リリース版QUCS0.0.19sでは、シミュレータとしてオープンソースのngspiceとXYCEを使えるようになります。それにあわせて、ALB/ALTAで、QUCS/XYCEを使えるようにサポートします。

(2) Github(およびGitlab)と連繫し設計データの共有を容易化します。設計に使用する各種ツールのデータの実体をMakeLSI:でも使用するGithubや、そのクローンであるGitlabに置き、それをALB/ALTAから実際に設計ツールで開き、バージョン情報とともにデータを更新できる仕組みを実現しました。(従来は、ALB上にデータの実体を置く事しかできず、設計資産の共有はALBの世界に閉じていました。)

(3) 測定システムをALTAから制御し、測定データの管理をALBで行うことができます。測定システムの例として、安価な評価ボードであるRedPitayaを使用しました。(さらに安価なPSoC5LPの使用も検討中です。)測定プログラムはALTAに組み込まなくても、その他のツール同様、ALBやGithub上に置き、バージョン管理することができます。

このWhite Paperでは、ギターエフェクタの設計と評価を適用事例として上記の新機能を紹介します。

以上のように、ALB/ALTAでは、MakeLSI:に向けた改良を行っていますが、専門家向けサポートを軽視しているわけではありません。専門家にとっても魅力のある機能を増強し、ALB/ALTAを専門家にも非専門家にも使える、そして設計知識の共有機能を通じて、専門家と非専門家の橋渡しとなり、共通の設計基盤となることを目指して今後も開発を続けていきます。

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